2020.11.30 | 組版&デザインブログ
私たちの仕事の柱となる、組版についてお伝えします。
組版。クミハンと読みますが、馴染みのない方もいらっしゃるでしょうか。印刷物などの紙面に文字や写真、図版などの原稿を配置し、紙面を作り上げていくことです。もともとは活版印刷の工程で、印刷の元となる「版」を、活字を一文字ずつ「組」んで作っていたことに由来しています。
本や冊子は、組版によって最終的な姿をあらわします。そして、組版によって仕上がりは大きく変わりますので、とても重要な工程です。読みやすいものにできるかどうかも組版にかかっていますし、過度に難しそうに見えないか、反対に過度に間が抜けて見えないかなど、全体にも気を配ります。組版はデザインとも密接に関係している、繊細な作業なのです。
多くの本づくりや冊子づくりでは、著者の原稿執筆、写真や図版原稿の用意、編集作業等を経て、私たちのデザイン、組版工程へ進んで行きます。
どのような佇まいの本になるのが望ましいか、著者さんや編集の方と打ち合わせたのち、目指すべき仕上がりに向けて、次のようなことを決めていきます。
・書体(フォント)選び
・本文の文字の大きさと、見出しの大きさ
・行間をどのぐらいにするか
・1行の文字数と行数はどのぐらいが適切か
書体は、本や冊子の印象を決める大切な部分です。そして文字の大きさと行間、1行文字数は、読みやすさを左右します。
同じ文字組設定でも、原稿によって見え方が随分と変わるものです。ひらがな、カタカナが多いもの、改行の多いもの、少ないものなど、読みやすくなるように気を配ります。
サンプルを編集者の方に見ていただいて、細部をつめていきます。
「難しい内容なのだけど、読者にはやさしく思えるようにしてほしい」。編集の方からこんな要望をいただいたこともありました。その際は、誌面の余白を少し多めに取ったうえで、書体は少しふくよかなものを選び、行間を広めに取りました。
反対に簡単な内容の文章でも、少し知的なトーンを出すために、文字の大きさを少し小さくし、行間を狭めにとることもあります。
くりかえしになりますが、組版によって本の仕上がりは大きく変わります。設計段階で作られたフォーマットがこの後の全てに影響します。本や冊子のクオリティを落とさず、美しい仕上がりにするためには、この設計段階がとても大切だと考えています。
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